《二章》
~旅立ちに至るまでのあらすじ~
ある日、天使ファンナは主(マスター)の
御前に呼び出されました。そこで、天使として
初めての使命を授かりました。
”地上へ降りて、人間たちの砦の守りに加わり、
悪魔どもの企みを阻止せよ”と。
大広間に入ると、姉のローザが待っていました。ローザはすでに
高位の天使として活躍し、周囲の信頼と尊敬をかち得ています。
「いよいよね。みんな、あなたが来るのを歓迎しているわ。最年少の
魔法の使い手として、あなたにかける期待は大きいわよ」
姉妹とはいっても、生まれてすぐ引き離されて、別々の所
で暮らしていたので、本当の姉妹という実感はありません。
お互いに対面するのも、これが初めてでした。しかし、ファンナは
ローザがそばに来たとき、本能的に同じ匂いのようなものを感じ
ました。血を分けた姉妹同士の絆というべきものを。
ローザはそんな妹の様子を見て取ると、そっと彼女の手を取り、
自分の懐に引き寄せました。ファンナは胸の高まりを覚えました。
生き別れた両親に巡り会えたようにも思え、感覚がジーンと
するのを感じました。ローザは安心させるかのように、
ファンナの肩をやさしく叩きました。それが合図となってか、
ファンナはワッと姉の胸元で泣きじゃくりました。
しばらくたち、ファンナは静かに目を開けました。ぬくもりは
まだ残っています。ローザはそんな妹を温かく見守っていました。
「あたしも、早く姉さんみたいになりたいな……」ファンナは
そう呟きました。ローザはかすかに微笑しました。
「意気込みは大事だけれど、焦りは禁物よ。あなたがこれから
向かう戦場では、一瞬の油断が命取りになりますからね。でも
あなたなら、その若さとひたむきさで大抵のことは乗り切れま
す。自分を信じればいいのよ」